洋食器と和食器の違い

違い

飲食のための器という点で和食器も洋食器もその目的とするところに違いはありません。しかし、私達の意識の上では和食器と洋食器とそれぞれ違う印象をもっています。普段使いの場合にはあまり意識しないで食器を使いまわしていますが、来客や改まった食事の場においてなどあるいは新しく食器を揃える時のことを考えるとその違いがはっきりします。

食器を揃える場合に、洋食器はメインディッシュ、サラダ皿、パン皿、スープ皿、コーヒーカップにソーサー等の1枚ずつを1セットとして4人分、6人分というように偶数人数分で揃えるのが通常です。また、これらのセットは、同じブランドの同じシリーズ物、つまり同じ色柄のもので揃えていきます。

一方、和食器の場合は、同じブランド物を1セットとして揃えることはあまりしません。向うづけや各種椀物等その用途が限定される食器ももちろんありますが、これはメインディッシュであると決められてそれを中心に1セットとして揃えていくということは余りなく、したがって、実際に使用する場合の食器の材質も陶磁器製のものもあれば木製・漆塗りの椀類など様々な種類があります。陶磁器でも異なる窯で製作されたものが並びます。また、数を揃える場合に、洋食器が偶数で揃えていくのに対して、和食器は5客揃いが一般的です。

洋食のマナーでは原則として食事中に皿を手にとって飲食するとはマナー違反、テーブルにおいたままです。これゆえ、同じブランドの同じシリーズの方が目に美しい。一方和食の場合には食器を手にとって飲食するのが基本で、目で楽しみ手触りを楽しみ器の取り合わせを楽しみます。長い間の食事作法が食器の違いに表れているといえます。